2026.10.28
management
AI研修の前に、見てよい情報とできる操作を部署ごとに決める
AIの研修を始める前に、何を先に決めておくべきか迷う担当者は多いはずです。指示の書き方から教えたくなりますが、使い方を覚えた社員が、見せてはいけない資料をAIに渡してしまうこともあります。この記事は、研修の前に会社として何を決めるかを説明します。
答えは、AIが見てよい情報と、AIにさせてよい操作を、部署ごとに紙1枚へ決めることです。弊社は、指示のうまさを学ぶより先に、AIにできることの範囲を決めるほうが大事だと考えます。範囲が決まっていれば、社員が指示を間違えても、被害は決めた範囲の中で止まるからです。2026年10月時点の考え方として書きます。
紙に書くのは2つ
1枚の紙に、次の2つを書きます。
- 見てよい情報
- AIに読ませてよい資料や記録
- たとえば、公開済みの商品説明
- たとえば、社内の作業手順書
- できる操作
- AIが自分の力で実行してよい動き
- たとえば、文章の下書きを作る
- たとえば、人に代わって相手へ送る
ここでいう操作とは、読むだけでなく、書く、送る、消す、のように外の物事を変える動きです。情報より操作のほうが、取り返しがつきにくくなります。
部署ごとに分ける
全社で1つの決まりにすると、厳しすぎるか、ゆるすぎるかのどちらかになります。部署によって、扱う情報が違うからです。
- 総務や人事
- 社員の個人情報や給与の記録を扱う
- 見てよい情報は狭く、操作は下書きまでにする
- 営業
- お客様への連絡が多い
- 下書きは任せてよいが、送る操作は人が行う
- 広報
- 外に出す文章が主な仕事
- 公開済みの資料を広く読ませてよい
この例は、考え方を示すための作り話です。実際の線は、部署の責任者と一緒に引いてください。
先に決める理由
あとから決めようとすると、すでに使われている習慣と食い違い、決まりが守られなくなります。先に範囲を示せば、社員は迷ったときに紙を見ればよいのです。上司も、使ってよいかの相談に毎回は答えなくて済みます。
決める手順
次の順番で進めると、1部署あたり短い話し合いで終わります。
- 部署の責任者と、いまAIに渡している資料を書き出す
- 資料ごとに、AIに見せてよいかを決める
- AIにさせたい作業を書き出す
- 作業ごとに、AIが自分で実行してよいか、人が最後に押すかを決める
- 決めた紙を、部署の全員が見られる場所に置く
- 3か月たったら、困った場面を持ち寄って見直す
4番が肝心です。下書きまでをAIに任せ、送る、消す、払う、といった最後の動きは人が行う形にすると、間違いが外へ出る前に止まります。
弊社の記事づくりの場合
弊社は記事を書くときにも、同じ考え方を使っています。AIが使ってよい材料は事実の一覧に限り、そこにない数字や社名は書かないと決めています。成果の数字も記事には入れず、書くのは確かめられる料金やプランの中身、運用のルールだけです。
この範囲は、AIへの頼み方を工夫して守らせているのではなくて、材料そのものを絞って守らせています。頼み方が多少まずくても、渡していない情報は出てこないからです。公開の前には、人が読んで分かる言葉かを確かめます。ここでも、最後の確認は人の役目です。
研修では範囲の中での使い方を教える
範囲を決めたあとの研修は、教える内容が絞れます。自分の部署で見せてよい情報は何か、迷ったときは誰に聞くか、人が最後に押す操作はどれか、の3点です。
範囲がないまま指示の書き方を教えると、うまく頼める社員ほど、広い範囲で動かしてしまいます。うまさの前に範囲を置くのは、このためです。範囲の決め方や社内の決めごとの作り方は、弊社のAIガバナンスの記事にも書いています。個人情報の扱いだけを先に決めたいときは、個人を特定できる情報の記事が参考になります。
明日できる最初の一歩
明日、自分の部署でいちばん多くAIに渡している資料を1つ選んでください。その資料について、AIに見せてよいか、AIが送ったり消したりしてよいかを、○と×で紙に書きます。書いてみて迷った箇所が、会社として決めるべき点です。
自社だけで線を引くのが難しいときは、弊社の顧問型ITコンサル&ヘルプデスクで相談できます。料金は月額10万円(税別)で、始めるときの費用は別にかかりません。月に2回、30分ほどオンラインで集まる場を、決めた紙を見直す時間に使う会社もあり得ます。押しつけるつもりはなく、まず紙1枚を書くところから始めるのが確実です。

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