2026.10.12
management
AIガバナンスとは。中小企業が最低限決める4つのことを解説
AIガバナンスとは、会社がAIを使うときの決めごとと、それを守らせる仕組みのことです。株式会社ストリックランドは、中小企業が最低限やることを4つに絞って考えています。使ってよいツール、入れてはいけない情報、確認する人、記録と見直しです。この記事では、4つをどう決めるかと、弊社が自社で決めている運用を説明します。2026年10月時点の考え方です。
AIガバナンスとは何ですか
AIガバナンスとは、AIの使い方を会社として管理することです。個人の判断に任せず、会社が基準を持ちます。
大きな会社では、専門の部署や委員会を置くことがあります。中小企業にそこまでは要りません。紙1枚に書ける決めごとがあれば、まず足ります。
決めないまま使い始めると、困ることが起きます。社員が自分の判断で無料のツールを使います。お客様の名前や見積の中身を入れてしまう人も出ます。誰も悪気はありません。決まりが無いだけです。
中小企業が最低限決める4つは何ですか
次の4つを、文章にして社内に出します。
- 使ってよいツール
- 入れてはいけない情報
- 確認する人
- 記録と見直し
順番に説明します。1つずつ、短い文で書けば十分です。
1つ目 使ってよいツールはどう決めますか
会社として使うツールの名前を、一覧にして書きます。一覧に無いツールは、会社の仕事では使わないことにします。
決めるときの手順です。
- いま社員が使っているAIツールを聞き出す
- ツールごとに、入れた文章が学習に使われるかを規約で確かめる
- 使ってよいものだけを一覧に残す
- 新しく使いたいときは、申し出る先を決める
2番の確認は、ツールの規約と設定画面を読みます。法人向けの契約では、入れた内容を学習に使わない設定にできるものがあります。ただし、ツールごとに違います。読んだ日付を一覧に添えておくと、あとで見直せます。
2つ目 入れてはいけない情報はどう決めますか
AIに入れてはいけない情報を、具体的に書きます。「大事な情報」のような広い言い方では、社員が迷います。
書き方の例です。
- お客様の氏名、住所、電話番号などの個人情報
- 契約書や見積書の中身
- まだ発表していない商品や価格の情報
- パスワードや鍵の文字列
個人情報の扱いは、個人情報保護法にも関わります。自社の事情で判断がつかないときは、弁護士や専門家に聞いてください。
入れてよい情報も、1行で書いておきます。「公開されている情報」「自分で書いた下書き」などです。禁止だけを並べると、使われなくなります。
3つ目 確認する人は、なぜ決めるのですか
AIの出力には、間違いが混ざります。もっともらしい文章でも、事実と違うことがあります。外に出す前に、人が読んで確かめる人を決めます。
決めるのは次の点です。
- AIが作ったものを外に出す前に、誰が読むか
- 何を確かめるか。数字、社名、法律の言い方などを具体的に書く
- 迷ったとき、誰に聞くか
弊社の運用を例に挙げます。確認する人を置くだけでなく、AIにできることそのものも設定で絞っています。AIのアカウントは、下書きを作ることと読むことだけができます。投稿のボタンは人が押します。「やらないでください」と頼むだけでは、間違えたときに止まりません。できないようにしておけば、最後は必ず人が確かめます。
外へ出る文は、会社として出してよいかを機械の判定でも点検してから出しています。人の目と機械の判定を重ねるやり方です。
4つ目 記録と見直しは何をしますか
決めたことは、書いたままにしないで見直します。AIの機能も、ツールの規約も変わるからです。
最低限、次の2つをやります。
- 決めごとを書いた紙に、直した日付を入れる
- 3か月か半年に1回、見直す日を決めてカレンダーに入れる
記録としては、使ってよいツールの一覧と、問題が起きたときの経緯を残します。誰が、何に、どのツールを使って困ったかを書きます。責めるためではなく、決めごとを直すために残します。
社員から「これは使ってよいか」と聞かれたことも、記録に足します。同じ質問が続くなら、決めごとの書き方が足りません。
決めごとを作るとき、気をつけることは何ですか
禁止ばかりにしないことです。守れない決まりは、隠れて使う社員を増やします。使ってよい場面を先に書いてから、してはいけないことを書きます。
もう1つは、社長が先に守ることです。経営者が決まりを破ると、社員は従いません。
弊社では、公開前に、人間が読んで分かる言葉かどうかも確かめています。決めごとの紙も同じです。専門語は初めに説明し、小学生にも筋が追える言葉で書きます。
なお、一般的な指針として、経済産業省などが公表しているAIの事業者向けガイドラインがあります。大きな方針を知りたいときは、そちらも読んでください。
最初の1枚をどう作ればよいですか
まず、4つの項目を見出しにした紙を1枚作ります。
- 使ってよいツールの名前
- 入れてはいけない情報の例
- 確認する人の名前
- 見直す日
作り方の具体例は、社内生成AIガイドラインの作り方。A4一枚で足りる理由で説明しています。社内でAIに相談できる環境を作る順番は、中小企業が社内AIアシスタントを入れる前に決める3つのことにまとめました。
自社だけで決めるのが難しいときは、顧問型ITコンサル&ヘルプデスクで相談できます。月10万円(税別)で、月2回の定例があります。決めごとを一緒に作る使い方もできます。
よくある質問
従業員が数人の会社でも、AIガバナンスは必要ですか
必要です。人数が少なくても、お客様の情報は預かっています。ただし、大きな仕組みは要りません。4つの項目を書いた紙1枚で始められます。
無料のAIツールは、全部禁止にすべきですか
全部を禁止にする必要はありません。入れた内容が学習に使われるかを、規約で確かめてください。確かめられないものは、会社の仕事では使わないことにします。個人情報や契約書を入れないルールは、無料でも有料でも同じです。
決めごとは、どのくらいの頻度で見直しますか
3か月か半年に1回が目安です。大きなツールの変更や、困りごとが起きたときは、すぐに見直します。見直す日を、先にカレンダーへ入れておくと忘れません。
社員が決まりを破ったら、どうしますか
まず、決まりが分かりやすかったかを確かめます。多くの場合、書き方が足りないか、使える場面が書かれていません。経緯を記録に残し、決めごとを直します。

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