2026.10.22
management
業務用のAIは、愛想より正確さを優先して設定すると決める
社内で使うAIに、やさしく親しみやすい話し方を設定したくなることがあります。社員が構えずに使えるように、と考えるからです。ただ、その設定が答えの正しさに響くなら、話は変わります。この記事では、業務用のAIの話し方を会社としてどう決めるかを説明します。
弊社の考えは、業務で使うAIは愛想より正確さを優先して設定する、というものです。2026年10月時点の判断です。
親しみやすさと正確さは別のもの
話し方がやさしいことと、答えが正しいことは、本来は別々の性質です。人は、感じのよい相手の話を、つい正しいと思いがちです。AIでも同じことが起きます。
温かみや共感を強めると、AIの間違いが増えるという報告があります。ここでは割合は書きません。大事なのは、やさしさを足すと正確さが落ちる場合がある、と知っておくことです。
つまり、親しみやすさは「足せば得をする飾り」ではありません。正確さと引き換えになりうる設定です。
社内のAIで起きやすいこと
業務の場面で、間違いが増えると何が困るかを考えます。
- 数字や日付の間違い
- 見積もりや報告書に、そのまま入ってしまう
- 共感を優先した返事
- 本当は「それは難しい」と言うべき場面で、同調してしまう
- 自信のある口調
- 間違いでも、読む人が疑わなくなる
とくに三つ目は見落とされます。やさしい口調と自信のある口調が重なると、確かめる気持ちが薄れます。
設定は用途ごとに決める
全部のAIを同じ話し方にそろえる必要はありません。何に使うAIかで分けます。
- 数字、契約、法令、社内の決まりを扱うAI
- 愛想は最小にして、短く正確に答えさせる
- 分からないときは、分からないと言わせる
- 新しく使い始める人の相談に乗るAI
- 言葉づかいは丁寧にしてよい
- ただし、事実を答える部分は正確さを優先する
- 社外の人に見せる文章を下書きするAI
- 口調は会社の文体に合わせる
- 出す前に、人が必ず読む
迷ったら、間違えたときの損が大きい用途から先に、正確さ優先で決めます。
決めるときの手順
会社で決めるときの順番を示します。
- AIを使っている用途を、すべて書き出す
- 各用途で、間違いが出たときの影響を大きい・小さいで分ける
- 影響が大きい用途は、愛想を抑えた設定にする
- 答えに、自信の度合いも一緒に書かせる
- 設定を変えたら、同じ質問で変更の前後を比べる
4番目は、親しみやすさを抑える代わりの安全策になります。「確実」「たぶん」「分からない」のような言い方を答えに付けさせると、読む人が確かめる場所を選べます。
5番目の比べ方は簡単です。社内でよく出る質問を5つほど決めておき、設定を変えるたびに同じ質問をします。答えの正しさが落ちていないかを人が見ます。
話し方より先に、確かめる決まりを置く
話し方をどう設定しても、AIの間違いはなくなりません。だから、人が確かめる決まりが先に要ります。
使う場所の近くに、してほしい動作を一文で書くのが効きます。たとえば入力欄の近くに「数字は元の資料で確かめてください」と置きます。禁止事項を長く並べるより、読まれやすいからです。
決まりの作り方は、社内生成AIガイドラインの作り方。A4一枚で足りる理由にまとめています。AIを入れる前に会社で決めることは、中小企業が社内AIアシスタントを入れる前に決める3つのことでも説明しています。
弊社自身も、AIに任せる範囲は指示ではなく設定で決めています。AIのアカウントには下書きを作ることと読むことだけを許し、投稿のボタンは人が押す形です。外へ出す文は、出してよいかを機械の判定で点検してから出しています。話し方も同じで、お願いではなく設定として決めます。
決めきれないときの頼み先
どの用途を正確さ優先にするか、社内だけで決めにくいことがあります。そのときは外の目を入れる方法もあります。
弊社の顧問型ITコンサル&ヘルプデスクは、毎月10万円(税別)の定額で、はじめにかかる費用はありません。月2回、30分のオンライン定例があり、AIの設定の相談もできます。押しつけるつもりはありませんが、選択肢のひとつとして挙げておきます。
まずは今あるAIの用途を書き出して、間違いの影響が大きいものを1つ選んでください。そのAIの話し方を、愛想より正確さへ寄せるところから始めれば十分です。

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