2026.10.12
management
情報システム担当がいない会社のIT体制の作り方と外に頼む範囲
情報システム担当がいない会社は、総務の兼任者が抱えている仕事を書き出し、会社として持つ判断と外に頼む作業を分けると、IT体制を作れます。弊社ストリックランドは京都市の会社で、顧問型ITコンサル&ヘルプデスクも行っています。この記事では、棚卸しの手順、アカウントと機器の管理、外に頼む範囲の決め方を説明します。2026年10月時点の考え方です。
担当がいない会社で、まず何から決めればよいですか
最初に決めるのは、IT の責任者を一人置くことです。専任である必要はありません。総務の兼任でも、経営者本人でもかまいません。
責任者の仕事は、作業をすることではありません。「誰が何を使っているか」を答えられる状態を保つことです。困ったときに最初に声をかける人が決まっているだけで、社員の迷いは減ります。
そのうえで、次の順番で進めます。
- 兼任者が今やっている IT の仕事を書き出す
- 仕事を「会社が決めること」と「作業」に分ける
- アカウントと機器の一覧を作る
- 作業のうち外に頼むものを決める
総務が兼任している仕事は、どう棚卸しすればよいですか
付箋でも表計算でもよいので、この半年に頼まれたことを思い出して書き出します。パソコンの設定、パスワードを忘れた人の対応、プリンターの不具合、ソフトの契約更新などが出てきます。
書き出したら、一つずつ次の問いを当てます。
- 毎月起きる仕事か、年に数回の仕事か
- 止まると、その日の業務が止まるか
- 兼任者しかやり方を知らないか
- 手順を紙にすれば、別の人でもできるか
特に気をつけたいのは、兼任者しか知らない仕事です。その人が休んだり辞めたりすると、誰も直せなくなります。ここは最初に手順書にします。画面の写真を貼った簡単なもので足ります。
棚卸しの目的は、仕事を減らすことではありません。どの仕事が会社の判断で、どの仕事が作業かを見分けることです。
アカウントと機器は、どこまで管理すればよいですか
最低限そろえるのは、二つの一覧です。
- 社員ごとのアカウント一覧。使っているサービス名、管理者は誰か、入社日と退職日を書く
- 機器の一覧。パソコンやスマートフォンの持ち主、購入時期、保管場所を書く
アカウントの一覧で最も大切なのは、退職した人の分を止める手順です。退職日に、メール、チャット、クラウドの保存先、業務で使う各サービスを止めます。止め忘れは、情報が外に出る原因になります。
次に、共有のアカウントを減らします。一つのログイン情報を数人で使うと、誰が操作したか分からなくなります。人ごとにアカウントを分けられないサービスは、一覧に「共有」と書いて、パスワードを変える担当を決めます。
機器は、紛失したときの対応を決めておきます。画面のロックをかけること、遠隔で中身を消せる設定にすること、紛失したら誰に連絡するかを一枚にまとめます。
生成AIを使う会社では、もう一つ決めることがあります。社員が個人の契約で使ってよいか、会社の契約に統一するかです。入力してよい情報の線引きは、社内生成AIガイドラインの作り方。A4一枚で足りる理由で整理しています。
外に頼む範囲は、どう決めればよいですか
判断の基準は、「会社の中身を知らないとできない仕事か」です。
会社の中身を知らないとできない仕事は、社内に残します。例えば、誰にどの権限を持たせるか、どの情報を外に出してよいか、どのサービスを契約するかです。これは責任の問題なので、外には任せられません。
一方、専門の知識があれば誰がやっても同じ結果になる仕事は、外に頼みます。機器の設定、障害の切り分け、サービスの設定変更などです。
頼む前に、相手に二つのことを確かめます。一つは、返事が来るまでの目安と、対応してくれる曜日と時間です。もう一つは、費用が作業ごとに増えるのか、決まった額なのかです。
月々の費用が決まっていないと、「相談すると費用がかかる」と思って、社員が連絡を控えるようになります。そうなると、問題が大きくなってから発覚します。
弊社の顧問型ITコンサル&ヘルプデスクは、月10万円(税別)で、初期費用はなく、人数の上限もありません。月2回、30分のオンライン定例があり、受付は24時間です。担当の対応は9〜19時で、土日も行います。外に頼む形の一例として、比べるときの材料にしてください。
社内のAI活用を進める前に、整えておくことはありますか
アカウントの一覧と退職時の手順が無いまま AI を広げると、誰がどのデータを入れたか追えなくなります。先に前の節の二つの一覧を作ってください。
そのあとで、社内の資料を AI に読ませるかを決めます。進め方は中小企業が社内AIアシスタントを入れる前に決める3つのことに書きました。IT の体制ができているほど、AI の導入は短く済みます。
よくある質問
担当者を一人採用したほうがよいですか
人数の少ない会社では、先に仕事を棚卸しすることをすすめます。毎日発生する仕事が少ない場合、専任者を置くと空き時間が多くなります。棚卸しで仕事の量が分かってから、採用か外部委託かを選んでください。
兼任の総務担当者に、どこまで任せてよいですか
アカウントの一覧づくりと、退職時の手順の実行までは任せられます。サービスの契約や、権限の与え方の最終判断は、経営者が持ちます。担当者が一人で責任を負う形にしないことが大切です。
外部に頼むと、社内の情報が外に出ませんか
頼む範囲によります。権限の管理を外に渡すと、そのぶん相手がデータに触れます。契約の前に、相手が見られる範囲と、作業の記録を残してもらえるかを確かめてください。
一覧を作ったあと、どのくらいの頻度で見直せばよいですか
人の出入りがあったときと、サービスを新しく契約したときに更新します。それとは別に、半年に一度は一覧と実際の利用状況を突き合わせます。使われていないアカウントが見つかることが多いためです。

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