2026.11.02

management

外部にAI導入を頼むときは、考え方と測る数字を1つずつ出してもらう

外部の会社にAI導入を頼もうとすると、相手の話し方が二通りに分かれることがあります。一方は「うちはこう考えて進めます」と語り、もう一方は「この数字を変えます」と語ります。どちらを信じてよいか迷う場面で、会社としてどう決めるかが、この記事の話題です。

答えは、考え方と測る数字を、相手に1つずつ出してもらうと決めることです。どちらか片方だけで選ばず、両方を紙に書いてもらいます。中身の分からない提案を、頼む側の会社が通してしまわないための決め方です。

資料の間でも意見が分かれている

2026年10月時点で、AIの仕事の頼み方や売り方は、ひとつにそろっていません。ある資料では、考え方を語ることを勧めています。別の資料は、AIという言葉ではなく、測れる成果で売れと勧めています。

頼む側から見ると、この二つは対立しているように見えて、見ている所が違います。考え方は、相手がどんな順で、何を大事にして仕事をする会社かを教えてくれます。数字が示すのは、仕事のあとに何が変わったかです。

どちらが正しいかを、頼む側が決める必要はありません。両方を聞けば足ります。以降は、資料の話ではなく、一般的な判断として書きます。

片方だけで選ぶと困ること

  • 考え方だけを聞いて選んだ場合
  • 話は立派でも、終わったあとに良かったかを測る物差しが残らない
  • 数字だけを聞いて選んだ場合
  • 数字は残るが、どんな進め方で動かすのかが分からない

考え方だけで選ぶと、終わったときにうまくいったかを、双方が別々に受け取ります。数字だけで選ぶと、数字を合わせるために無理な進め方が選ばれても、頼む側は気づけません。たとえば、返信を早くする仕事では、中身が薄くなっても時間の数字は良くなります。

考え方として聞くこと

考え方は、長い話で聞かなくて構いません。聞きたいのは、次の一文です。「私たちはAIの仕事を、こういう順番で、こういう点を大事にして進めます」。この一文が出せない相手には、進め方そのものが決まっていない可能性があります。

そのうえで、頼む側が見るのは、その考え方が自社の仕事の事情に合うかどうかです。社内の確認を厚くしたい会社に、「まず速く動かす」を大事にする相手は合いません。上手か下手かではなくて、合うか合わないかで見ます。

弊社は自社の文章を公開する前に、人間が読んで分かる言葉かを確かめています。見る点は、比喩を使っていないか、専門語を初めて出すときに説明しているかです。外部の考え方の文を読むときも、同じ物差しが使えます。読んで意味が取れない言葉で書かれた考え方は、あとで運用の場面で食い違いやすいからです。

測る数字として聞くこと

数字は、1つに絞ってもらいます。たくさん並べられると、都合のよいものだけが目に入ります。測る数字は、たとえば返信にかかる時間のように、目に見えるものがよいです。

ここで気をつけたいのは、「効率化します」という言葉が、数字ではないことです。効率化の中身は、作業にかかる時間なのか、1件あたりの費用なのかで変わります。この点は、資料にも答えが載っていません。相手が決めてくれるのを待たず、頼む側が相手と一緒に決める点です。

決めるときは、次の三点を話します。何の数字を測るか。いつ、誰が測るか。今の値はいくつか。今の値が分からないと、変わったかどうかが言えません。分からないときは、測り始める作業から頼む形でも構いません。

会社がこれを決めておく理由

外部への依頼は、担当者が1人で決めて、あとで他の人が結果を引き受けることが多いです。そのとき、選んだ理由が紙に残っていないと、あとから見直せません。考え方と数字が紙にあれば、頼んだ理由と、うまくいったかの判断が、同じ紙で確かめられます。

もうひとつの理由は、担当者が替わる場合です。前の担当者が「なんとなく良さそう」で決めた依頼は、次の担当者には理由が見えません。紙を残す決まりにすれば、担当者が替わっても、続けるか止めるかを同じ基準で話せます。

導入後の数字の測り方は、生成AIの導入効果は導入前に測る項目を決め、導入後に比べて測るで説明しています。依頼先を決める段階の話は、この記事の範囲に絞りました。

明日できる一手

明日できることは、いま話を聞いている相手に、1枚の紙を頼むことです。紙に書いてもらうのは、次の二つです。

  1. 進めるときの考え方を、2文以内で書いてもらう
  2. 測る数字を1つ選んで、今の値をどう確かめるかを書いてもらう

相手が数字を選べないときは、頼む側から候補を1つ出します。たとえば、先ほどの返信にかかる時間です。相手が考え方を書けないときは、これまでの進め方を口で話してもらい、その場で2文に直します。

この紙が出てきたら、社内の依頼を通すときの添付資料にします。出てこなかった場合も、それは判断の材料になります。頼む前に、中身を示せるかどうかが分かったからです。

最初から契約の話にせず、1つの業務に絞った小さな依頼から始める形も考えられます。紙の内容が合っていたかどうかは、その小さな依頼の終わりに、同じ紙を見て確かめられます。会社として決めるのは、紙を出してもらうことと、終わりに同じ紙で見直すことの二つです。

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