2026.10.30
management
AIの活用度を評価に入れるかは、目的と困る人を先に話し合う
AIを使う人を増やしたいときに、評価の項目へ「AIの活用度」を入れるかどうかで迷う会社は多いはずです。入れれば動く気もしますが、入れて社内の空気が悪くなったら戻しにくい、という心配もあります。この記事では、入れるかどうかを会社としてどう決めるかを説明します。
結論から言うと、「入れるか、入れないか」を先に決めないでください。先に決めるのは、入れる目的と、困る人が出ないかの2つです。この2つを社員と話し合ってから、入れるかどうかを決めます。2026年10月時点で、AIの活用度を評価に入れることには考え方が分かれていて、どちらが正しいかはまだ決まっていません。
考え方は二つに分かれる
ある記事は、AIを社内に浸透させる決め手として、活用度の評価を前向きに語っています。評価に入れれば使うことが仕事の一部になり、忙しい人にも手を付ける理由ができます。
一方で、別の論もあります。評価と報酬で人を管理すると、自分で考えて動くことが「自己責任」に変わるという論です。使わなかった人は怠けた人として扱われ、使えなかった事情は見えなくなります。
どちらの論にも、もっともな点があります。だから、他社が入れたかどうかを見て決めても、自社に合うとは限りません。自社の目的に合わせて決めるしかありません。
先に目的を一文で書く
評価に入れる前に、入れる目的を一文で書きます。たとえば「見積書の下書きにAIを使う人を増やして、作成にかかる手間を減らす」のように、場面まで書きます。
目的が「AIを使わせること」だけだと、使った回数や画面を開いた回数を数えるだけの評価になりがちです。回数は、仕事が良くなったかどうかを教えてくれません。目的を仕事の結果の側に置けば、何を見るべきかも決まってきます。
こうした測り方は、生成AIの導入効果は導入前に測る項目を決め、導入後に比べて測るでも説明しています。評価の項目を決める前に読むと、見る数字を選びやすくなります。
困る人が出ないかを確かめる
次に、評価に入れたときに困る人がいないかを考えます。困る人は、あらかじめ想像しておけます。
- AIを使えない仕事の人
- 電話や現場の対応が中心の人は、使う場面そのものが少ない
- 扱う情報にAIを使えない人
- 取引先から預かった資料など、外に出せない情報を扱う人は、使えない決まりがある
- 慎重に様子を見ている人
- 使う気はあるが、間違いが出ることを恐れて手を出していない人もいる
こうした人たちが、使わないだけで低く評価されるなら、社員は評価のために使います。見せるためだけの使い方が増えて、仕事は良くなりません。これは評価に入れる前から分かる失敗です。
弊社の考え方
弊社は、人を技術に合わせず、技術をその会社の感覚・知識・文化に合わせることを理念にしています。この理念で考えると、評価でAIの使用を迫るのは順番が逆です。まず会社の仕事の側から、どこにAIが合うかを見つけ、合う場所で使ってもらいます。
評価に入れるかどうかを迷うときも、同じ見方ができます。「使わない人が悪い」と考える前に、「その人の仕事に、AIが合う場面があるか」を確かめます。場面が無いなら、使わないことは評価の対象になりません。
入れる場合の決め方
話し合ったうえで入れると決めたときは、次の順で進めます。まず目的を一文で書いて社員に見せ、評価の対象にする仕事はAIが合う仕事だけに限ります。項目は、使った回数ではなく仕事の結果を見るものです。最初の半年は評価に反映させず、記録だけを取る期間とします。その後、記録を見て、不公平が出ていないかを話し合い、反映するかを決めます。
記録だけ取る半年が大切です。いきなり報酬へつなげると、始めた直後の不慣れな時期の差が、そのまま評価の差になります。記録だけ取る期間があれば、困る人の存在に気づけます。
入れないと決めた場合でも、AIを使う人を増やす方法はあります。使い方を見せ合う場を作る、困りごとを聞く窓口を置く、といった方法です。評価に入れないことは、何もしないことではありません。
明日できる次の一手
明日、社内の3人に同じ質問をしてください。「AIの活用度が評価に入ったら、困ることはありますか」という質問です。部署の違う人を選ぶと、仕事によって事情が違うことが見えます。
聞いた答えは、そのまま紙に書き出します。答えが「特にない」ばかりなら入れる目的の話し合いへ、「困る」という答えが出たなら、その理由が先ほどの困る人の例のどれに当たるかの確認へ進みます。この作業は30分もかからず、評価の制度を変える前にできる確認です。
研修の効果を日々の数字で見る方法は、研修が「やった気」で終わる理由と、毎週3つの数字で防ぐ方法にまとめています。評価に入れる前の記録を取る段階で使えます。
決める前に話し合う理由
評価は、社員が「会社は何を大事にしているか」を読み取る材料です。AIの活用度を入れれば、会社が何を求めているかが、全員に一度に伝わります。伝わり方を間違えると、元に戻すのに時間がかかります。
だから、決める前に話し合う手間が要ります。話し合いの場で出た心配は制度を作るときの材料になりますが、話し合わずに決めると、同じ心配が制度が動き出してから不満の形で出てきます。
AIの導入について、評価の決め方まで含めて相談したい場合は、弊社へご連絡ください。会社の仕事の様子を聞いたうえで、どこに合う使い方があるかを一緒に考えます。

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