2026.10.27
management
品質を落とすなと伝えるには、品質を最低限・体験・感動の3つに分けて決める
経営者が「品質を落とすなよ」と言ったあとで、社員の動きがばらばらになる場面があります。ある人は誤字を直し続け、別の人は納期を守ることだけを考えます。この記事は、会社として品質をどう決めて伝えれば、全員が同じ方向に動けるのか、という問いに答える記事です。
品質を3つに分けて決め、感動を求める場所を数か所に絞って伝えます。2026年10月時点で、弊社が考えている手順です。
なぜ伝わらないのか
「品質」という言葉は、人によって指すものが違います。
- 営業担当
- お客様に出す資料に間違いがないこと
- 開発担当
- 動かなくならないこと
- 経理担当
- 数字が1円も合わないことがないこと
どれも正しい受け取り方です。だから指示だけでは、守るべき点が人の数だけできます。
もう一つの問題は、全部を最高にしようとすることです。時間も人も限られている会社では、全部を最高にする余裕がありません。結局、目立つ失敗だけを避ける動きになります。
品質を3つに分ける
品質を、最低限の品質、体験、感動の3つに分けます。次の分け方は、一般の判断として考えたものです。
- 最低限の品質
- 必ず守る水準のことです
- 例: 請求書の金額が合っている
- 例: お客様の個人情報を間違った相手に送らない
- 例: 約束した納期を過ぎるときは、過ぎる前に連絡する
- 守れなかったときは、お客様の信用を失う内容です
- 体験
- 使う人にとって心地よい水準のことです
- 例: 問い合わせへの返事が分かりやすい
- 例: 資料を開いたときに、探している内容がすぐ見つかる
- 最低限の品質のように必ずではありませんが、できていると続けて使ってもらえます
- 感動
- 人に話したくなる水準のことです
- 例: 相手が言っていない困りごとを先に見つけて、解決案を添える
- 例: 納品物に、使い方を録画した短い動画が付いている
- なくても困りませんが、あると人に勧められます
この3つは、足りなかったときの影響が違います。最低限の品質は、足りないと困るものです。体験は足りないと離れます。感動は足りなくても、普通の会社として扱われます。
感動は数か所に絞る
「全部で感動を目指せ」と言うと、社員は疲れます。そして、最低限の品質のほうがおろそかになります。
感動を求める場所は、数か所に絞って決めます。
- 絞る場所の選び方
- お客様が最初に触れる場面を選ぶ
- お客様が不安になりやすい場面を選ぶ
- 他社と比べられやすい場面を選ぶ
- 絞らない場所の扱い
- 最低限の品質だけを守る
- 体験は、時間があるときに上げる
たとえば、問い合わせへの最初の返事は感動を求める場所にします。請求書の発行は最低限の品質だけを守る場所にします。このように、求める水準は場所ごとに変えるということです。
これは手を抜くという意味ではありません。力を入れる場所を決めるということです。
伝え方を決める
3つに分けただけでは、社員に届きません。次の順で、言葉にして渡します。
- 自分の会社の最低限の品質を、5つ以内で書き出す
- 多すぎると覚えられません
- 「間違えたら信用を失うもの」だけを入れます
- 感動を求める場所を、数か所選んで名前を付ける
- 「新規のお客様への最初の返事」のように、場面で書きます
- それ以外の場所は、最低限の品質だけを守ればよいと言う
- この一言がないと、社員は全部で最高を目指してしまいます
- 守れているかを確かめる人と時期を決める
- 例: 最低限の品質は納品の前に、作った人とは別の人が見る
弊社でも、公開する文章は人が読んで分かる言葉かを確かめてから出す、という決まりを置いています。確かめる人と時点を決めておくと、「品質を落とすな」が行動に変わります。
決めたあとに見直す
3つの分け方は、一度決めて終わりではありません。
- 見直す場面
- 最低限の品質が守れなかった事故が起きたとき
- お客様から、体験について繰り返し指摘されたとき
- 感動を求める場所の担当者が、負担が大きいと言ったとき
- 見直し方
- 事故の原因が最低限の品質の書き漏れなら、そこに足す
- 最低限の品質の項目が増えすぎたら、本当に信用を失う内容かを問い直す
最低限の品質の項目を足すほど、社員は守ることで手一杯になり、体験と感動に手が回らなくなります。足すときは、減らせる項目がないかも一緒に見ます。
まとめ
「品質を落とすな」は、人によって守る対象が違うので、そのままでは伝わりません。品質を最低限の品質、体験、感動の3つに分け、感動を求める場所を数か所に絞って伝えると、社員は何に力を入れるかを判断できます。まず、自社の最低限の品質を5つ以内で書き出すところから始めてください。

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