2026.09.15
Training
生成AI研修に人材開発支援助成金は使えるか。対象になる条件と、ならない研修

人材開発支援助成金とは、事業主が雇用する労働者に職務に関連した訓練を受けさせたとき、訓練経費と訓練中の賃金の一部を国が助成する厚生労働省の制度です。生成AI研修が関係するコースは1つです。「事業展開等リスキリング支援コース」。生成AI研修は、このコースの対象になりえます。ただし令和8年8月3日の改正で、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は対象外と明記されました。対象になるかどうかは、受講者の職務に直結しているかで決まります。「生成AI」という言葉では決まりません。
株式会社ストリックランドは京都市の会社で、法人向けの生成AI研修 Qu を提供しています。この記事では当社の話を最後の節に留め、厚生労働省の令和8年8月3日版パンフレットとリーフレットに書かれている条件を、研修を探す側の目線で整理します。
対象になる研修と、ならない研修の線は「職務に直結しているか」
厚生労働省のリーフレット「令和8年8月3日からの変更点について」は、DX化に関する訓練のうち2つを助成対象外としました。職業または職務に間接的に必要となる知識や技能を習得させるものと、職業や職務の種類を問わず職業人として共通して必要となるもの、の2つです。
具体例も並んでいるので、そのまま引きます。
助成対象の例
- 生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練
- 自社のエネルギー使用量データの収集方法、CO2排出量算定ルールに基づく計算手順を学ぶ訓練
助成対象外の例
- 生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練
- DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練
リーフレットは注意するポイントとして「マナー、リテラシー、概念理解にとどまっていないか」と書いています。研修名に「リテラシー」「基礎」「プロンプトの書き方」と付くものは、その名前のまま計画届を出すと対象外に読まれます。対象になるのは業務名で書ける訓練です。営業担当者が提案書を作る。積算担当者が見積書を作る。
助成の額は経費の75%と、1人1時間あたり1,000円
厚生労働省の令和8年8月3日版パンフレットによると、事業展開等リスキリング支援コースの助成率は次のとおりです。
- 経費助成は、中小企業 75%、中小企業以外 60%
- 賃金助成は、中小企業 1人1時間あたり1,000円、中小企業以外 1人1時間あたり500円
経費助成には1人1訓練あたりの限度額があります。中小企業では訓練時間が10時間以上100時間未満で30万円、100時間以上200時間未満で40万円、200時間以上で50万円です。eラーニングと通信制は15万円です。
賃金助成は給与の補填です。研修費ではありません。研修費の実質負担を計算するときに差し引かないでください。このコースは令和4年12月に始まり、パンフレットに「令和8年度末までの時限措置」と書かれています。令和9年度以降の扱いは、2026年9月時点で厚生労働省から公表されていません。
申請の条件は5つ
パンフレットのチェックリストから、研修を探す側が先に確かめておく条件を抜き出すと5つになります。
- 受講者が、申請事業主の雇用保険適用事業所の雇用保険被保険者であること
- 訓練時間が10時間以上のOFF-JTであること
- 受講者の職務に直接関連する訓練であること
- 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に、計画届を労働局に提出すること
- 訓練経費を支給申請日までに事業主が全額負担していること
1つ目は役員に効きます。役員は通常、雇用保険の被保険者ではありません。役員だけが受ける研修は対象外です。4つ目は改正で下限が加わりました。以前は上限だけでした。いまは6か月より前に出しても受理されません。商談から訓練開始まで、最短でも6週間です。
回数にも上限があります。同じ労働者が助成を受けられる訓練は1年度に3回までで、うちeラーニングは1回までという制限が令和8年8月3日の改正で加わりました。
助成金の説明で、研修会社が言ってはいけないこと
厚生労働省が名指しで禁じている言い方があります。「実質無料」「0円研修」「必ず採択」です。研修費を高く見積もって差額を返す、ツールの費用を研修費に混ぜる、といった形は不正受給です。研修を実施した側も連帯して返還と名称公表の対象になります。
また、計画届や支給申請書を研修会社が代わりに作ることは、社会保険労務士法27条の関係でできません。研修会社が用意できるのはカリキュラムと受講案内までです。申請書類は事業主か社会保険労務士が作ります。
当社の研修が対象になりうる理由
当社の Qu は、③ 1on1型短期集中研修と ④ 生成AIチーム内製化研修の2つが助成の対象になりえます。どちらも受講者1人につき1つ、本人の業務課題からテーマを決めます。そのテーマの成果物を2〜3か月で作ります。計画届に業務名で書ける構造です。「見積書のたたき台を生成AIで作る」「議事録を会議当日に配る」のように。
③の参考価格は1,200,000円です。5名まで。中小企業で経費助成75%が適用された場合、経費助成は900,000円、実質のご負担は300,000円です。④の参考価格は2,400,000円で、4〜6名が対象です。
助成金について、当社は次の4点を必ずお伝えしています。
- 支給を保証するものではありません。審査は労働局が行い、制度は変更されることがあります
- 賃金の助成は従業員への給与の補填なので、実質のご負担には含めていません
- 受講できるのは雇用保険の被保険者に限られます。法人役員は通常この要件を満たしません
- 申請は提携の社会保険労務士が担います。当社は資料を用意しますが、申請書類は作りません
よくある質問
ChatGPT の使い方を全社員に教える研修は対象になるか
対象外です。汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は、令和8年8月3日のリーフレットで助成対象外の例として挙げられています。営業担当者が提案書を作る、というように職務に直結した内容に組み替える必要があります。
eラーニングだけの研修でも助成されるか
されます。ただし条件が厳しめです。経費助成の限度額は中小企業で1人15万円と低く、同じ労働者が1年度に助成を受けられるeラーニングは1回までです。
役員も受講できるか
受講はできます。助成の対象にはなりません。対象は雇用保険の被保険者で、法人役員は通常この要件を満たしません。
いつまでに申し込めば間に合うか
計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に労働局へ出します。研修会社との打ち合わせと社会保険労務士の確認を含めると、開始の6週間前には話を始めるのが目安です。
75%の助成率はいつまでか
期限つきです。厚生労働省のパンフレットに「令和8年度末までの時限措置」と書かれています。令和9年度以降の助成率は、2026年9月時点で公表されていません。
次の一歩
業務名で書けるかは、テーマを決める段階で分かります。研修の進め方は Qu のページをご覧ください。
参考資料
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」案内ページ
- 厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内」令和8年8月3日版パンフレット
- 厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コース改正 令和8年8月3日からの変更点について」LL080803開企01
※この記事は2026年9月時点の公表資料をもとにした一般的な説明で、個別の支給可否を保証するものではありません。申請前に最新の支給要領を確認し、社会保険労務士にご相談ください。

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